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近畿大学通信課程で図書館司書を目指すブログ

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図書館情報資源概論 レポート(合格)

学習 図書館情報資源概論

図書館情報資源概論のレポートです。夏になって他の方の学習も本格化してきたせいか、返却に随分と時間がかかりました。


設題

電子図書館の必要性を述べるとともに、日本の公共図書館が今後どのような情報資源を収集し、電子図書館サービスを提供すべきなのかを論じなさい。

解答

1.電子図書館について
1.1.電子図書館の定義
電子図書館の明確な定義は存在しないが、図書館情報学用語辞典によれば、「資料と情報を電子メディアによって提供すること、とりわけネットワークを介して提供することをサービスの中心に据えて、従来の図書館が担ってきた情報処理の機能の全体または一部を吸収し、さらに高度情報化社会の要請に呼応した新しい機能を実現させたシステムまたは組織、機関」であると定義している[1]。つまり、電子図書館電子書籍やデータベース、映像や画像コンテンツ等の情報資源を管理し、検索・提供を可能とするインターネット上の図書館と捉えられる。

1.2.電子図書館の必要性
インターネットの登場からブログの普及、SNSの興隆、UGCの広がりなどにより、電子書籍や電子ジャーナル、もしくは音声・映像コンテンツ等は爆発的な広がりを見せている。その中で、物理的な実態を持たない電子化された情報をいかに収集・蓄積し、利活用するかという課題がある。電子図書館という考え方は、この課題に対する答えの一つとなる。利用者側のメリットとしても、電子図書館は24時間どこからでもアクセスできることや、同じコンテンツを複数の利用者で利用することができることなど、利便性の高いサービスを提供することができる。

2.公共図書館による電子出版物のこれまでの提供について
電子図書館という考え方の端緒は、1994年に長尾真らが開発を行なったAriadneである[2]。ただし、これはあくまで電子図書館の学術的な実証を意図したものであり、住民サービスとして公共図書館電子図書館サービスを提供した初めての事例としては、2002年の岩見沢市立図書館が挙げられる。岩見沢私立図書館では、市民向けに図書館内のPC端末にて岩波文庫の100程度のタイトルを閲覧できるサービスを提供した。その後、岩見沢市立図書館は電子図書館サービスを拡充したが、現在では電子図書館システムの構築ベンダの撤退に伴いサービスを停止している。
また、公共図書館による事例ではないが、パブリックドメインとなった著作物を無料公開している青空文庫も、電子図書館の一種であると考えられる。青空文庫は1997年に設立されて以来、ボランティアによる運営ながらその蔵書数を伸ばし続け、現在では約13,00冊のタイトルを無料で閲覧できるサービスとなっている。
一方で、電子図書館という考え方自体は古くから存在するものの、現在でも電子図書館は一般に普及しているとは言いがたい。2014年の図書館統計[3]によれば、全国に公共図書館は3246館あるが、そのうち電子図書館サービスを実施している図書館は50館程度[4]であり、全体の数%程度にとどまっている。

3.今後日本の公共図書館が提供すべき電子図書館サービスについて
公共図書館において電子資料を提供する理由として、以下があげられる。

・障害をもった方へのサービス
ビジネスパーソン等多忙な方や何らかの理由で来館が難しい方へのサービス

電子書籍の特徴として、拡大が自由にできること、また電子書籍リーダにより音声読み上げ機能等が利用できることがあげられる。このような特徴を持った電子書籍は、障害者向けサービスとして有用である。公共図書館は、障害を持った方向けに積極的に電子図書館サービスを提供するべきであると考えられる。
また、自宅にいながらインターネットで電子書籍の貸し借りが可能である電子図書館は、図書館の利便性を上げるものである。図書館に足を運ぶ時間が取れないために図書館サービスを利用できない方に向けて、電子図書館サービスを提供することは有用である。また、足が不自由であるなどの理由で図書館への来館が困難である方向けに図書館サービスを実施することもできる。

一方で、電子図書館サービスにおいては課題も存在する。ひとつは、電子図書館提供ベンダのロックインという面である。電子図書館システムや、そこで提供される電子資料の形式等は、提供するベンダに依存するものであり、サービスを提供するベンダが事業から撤退した際には継続したサービスの提供が困難になる。上述した岩見沢市立図書館も、ベンダの撤退によりサービスの継続が不可能になった霊である。
また、全出版物のうち、電子書籍化されているものはまだまだ多くない状況である。コンテンツが少ないことが電子図書館の普及の妨げとなっていると思われる。電子図書館サービスを提供するにあたっては、利用者が満足の行くコンテンツ量を提供することが、電子図書館の利便性を高め、普及を促進すると思われる。

今後、電子書籍、映像資料等が爆発的に増えていくと予想される。その中で、電子図書館サービスが提供できる価値は今後も高まっていくと思われる。公共図書館として、住民向けにどのようなサービスが提供できるかについては電子書籍の黎明期である現在から積極的に考えていく必要がある

参考文献

[1] 図書館情報学用語辞典第4版 2013 日本図書館情報学会 丸善出版
[2] 電子図書館Ariadneの開発(1)~(5) 1995 長尾真他
[3] 日本の図書館統計 公共図書館 2014集計
[4] 日本の公立図書館による電子書籍/電子図書館サービス http://oui-oui.jp/eb-lib/

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レポートの作成にあたりさんこうになりそうな文献はこのあたりでしょうか。わたしも主に根拠情報としてこれらの文献を参照しつつレポートを作成しました。

図書館情報学用語辞典 第4版

図書館情報学用語辞典 第4版

日本の図書館 2014―統計と名簿

日本の図書館 2014―統計と名簿

お題が電子図書館ということで、解答するのはなかなか難しかったです。論理的なつながりが明確であるかどうかが重視されているような気がするので、章立てをしっかりして前後のつながりのある文章にすれば、合格することはできると思います。
電子図書館には、個人的にはとても期待しているのですが、現実問題として電子書籍化されている書籍数が少ないことや非協力的な出版社が多いことなども有り、電子図書館サービスを実施している図書館は多少増えてきているものの品揃えがイマイチだったりと、本格普及には遠い状態です。電子書籍共々、今後どのような展開を迎えていくのかが楽しみです。

以上、図書館情報資源概論のレポートでした。

本記事が参考になりましたら幸いです。司書資格取得に向けてがんばってください!