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図書館サービス概論 レポート(合格)

図書館サービス概論のレポートが返却されました。
無事合格できましたが、このレポートは統計調査との比較が求められるため、データを集めるのに結構苦労した思い出があります。


設題

身近な公共図書館都道府県立より、市町村立が望ましい)を観察し、このテキストに書いてあることと比較しつつ。その図書館の特徴を述べ、またあなたの具体的で実現可能な希望を列挙してください。

解答

今回のレポート作成にあたり、私が現在最もよく利用しているX区の区立図書館について調査を行った。X区には、X区の中央館であるX中央図書館を含め、他の7つの図書館が設置されている。各分館はそれぞれの地域の住民が利用しやすいようにX区内の様々な地域に設置されている。分館の多くは駅前もしくは駅近隣に設置されており、アクセス性がよいう。私が最もよく利用するX区民センター図書館も、駅から徒歩10分程度の場所にあり、駐車場や駐輪場も完備しており、利便性に優れている。
以下、X区立図書館のサービスの特徴について述べ、その上で私の図書館に対する希望について記載する。なお、X区立図書館と全国平均との比較のために、X区立図書館の各種統計データとして「X区の教育(図書館統計)[1]」を、全国平均の各種統計データとして日本図書館協会が集計している「日本の図書館統計[2]」を参照している。

1.X区立図書館のサービスについて
1.1.基本的なサービス
H26年度末の調査では、X区立図書館全体の蔵書数は1,160,471冊であった。X区の人口は270,525人であり、一人あたり約4.29冊の蔵書数となっている。一方で、比較として全国の公共図書館の蔵書数は335,494,000冊であり、日本の人口で割ると国民一人あたりの蔵書数は約2.87冊となり、X区立図書館は全国平均より一人あたりの蔵書数は多い。また貸出数についてはX区立図書館全体で年間4,268,056冊であり、一人あたり15.78冊である。これも全国平均と比較すると、全国の公共図書館の貸出数は625,395,000冊であり、一人あたり約5.35冊であり、これも全国平均よりも高い。X区立図書館の貸出に関する利用率は平均と比べても高いことが伺える。
図書館の利用登録者数は、X区立図書館全体で127,729人となっており、X区民の約47.2%が登録を行っていることになる。全国平均では、45,918,000人が公共図書館の利用登録を行っており、登録率は39.2%である。X区立図書館の蔵書数や貸出数は全体的に全国平均よりも高く、図書館サービスが充実しており、図書館の利用率も高いと言える。
その他、X区立図書館ではレファレンスサービスも実施している。専用に「資料相談カウンター」が設置されており、利用者は担当者へ調べ物の依頼を行うことができる。また、図書館に来館せずとも電話で同様の相談を行うこともできる。

1.2.対象別サービス
X区立図書館では、対象別サービスとして児童向けサービスや障がい者向けサービス、ヤングアダルト向けサービスを実施している。それぞれ、以下にサービス内容の概要を述べる。
X区立図書館では、児童向けサービスとして、絵本の読み聞かせや紙芝居、人形劇等の催し物を開催している。児童向けに「こどもニュース」として過去の催し物で読んだ絵本や紙芝居の紹介、今後の催し物の予定などを提供している。
また、障がい者向けサービスとして、大活字本や拡大図書、点字図書の提供や対面での朗読、点訳サービス等を実施している。また、事前に電話やFAXで連絡すれば、来館時の補助も行ってくれる。
ヤングアダルト向けサービスとしては、専用のコーナーを設けて若者向けの雑誌や図書を集めた棚を設けたり、自由に意見交換ができる「YAノート」を設置したりしている。

2.私の要望について
今回の調査で対象としたX区立図書館は、テキストで学習した公共図書館が一般に備えるべきパブリックサービスについては一通り完備していると感じた。図書館を訪問するたびに、老若男女問わず多くの利用者が図書館を利用しており、全世代に対して適切にサービスが提供されている結果である思われる。また、各種数値の全国平均との比較を行ってみても、概ね全国平均レベル以上のサービスの提供が行えているといえる。
その中で、あえて要望を上げるとするならば、さらなる蔵書の充実である。私が図書館を利用しようとする際に、蔵書が貸し出されており利用できないケースが多いように感じる。蔵書数は多いのだが、一方で貸出数も多いため、中々借りたい本を借りることができない状況なのである。その場合、最寄りの図書館を使うのではなく、遠方の大学図書館に本を借りに行ったり、本を購入したりすることになってしまう。
X区は人口も多く、また図書館利用者も多いため、予算を割り当てて蔵書の拡充をしていただけると、さらに住民サービスの向上が期待できるのではないか。蔵書の充実という、基本的なことではあるが利用者の満足度という観点ではもっとも重要となる点について、今後より強化していただけると一利用者としてはありがたい限りである。

参考文献
[1]X区立図書館ホームページ内 「X区の教育(図書館統計)」
[2]日本図書館教会「日本の図書館統計・2015年公共図書館集計」 http://www.jla.or.jp/Portals/0/data/iinkai/図書館調査事業委員会/2015%20公共集計.pdf


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図書館サービス概論に関する参考資料としてはこのあたりでしょうか。図書館概論のレポートでも書きましたが、未来をつくる図書館は司書を目指す人なら必読といえます。ぜひ読んでみて下さい。

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)


図書館概論のレポートの記事でも書きましたが、図書館概論と図書館サービス概論は同時に学習するべきです。

zbtn.hatenablog.com

レポートは残念ながら再提出を食らってしまいました。設題の趣旨として、「ある自治体全体における公共図書館の整備状況」と「周辺自治体もしくは全国平均」との比較が求められているようです。ある自治体全体、というところが重要であり、例えば分館のみを比較対象にしたレポートは落とされるようです。(私がちゃんと設題の趣旨を読み取れていなかっただけかも)

ということで、図書館サービス概論のレポートでした。
本記事が参考になりましたら幸いです。司書資格取得に向けてがんばってください!