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近畿大学通信課程で図書館司書を目指すブログ

社会人が司書資格の取得を目指すブログ

図書館の歴史について

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司書資格の要件となる科目の一つに「図書館史」という選択科目があります。今日は、その科目について勉強したことをまとめ、図書館の歴史について書いてみたいと思います。

 

目次

 

記録媒体の起源について

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図書館の起源を辿る前に、そもそもの記録媒体の起源から辿ってみましょう。

現代では、紙が主流の記録媒体として活用されていますが、古代においてはエジプトのパピルスメソポタミアの粘土板、中国の竹簡など、様々な媒体に情報を記録することが試みられました。文字がこれらの記録媒体に書き込まれた時代以降を有史時代と呼び、それ以前を先史時代と呼ぶわけですが、文字と文字の記録先が発明されたことによる文化の発展速度はすさまじいものでした。

古代初期においては、上記のパピルスや粘土板、羊皮紙などが主な記録媒体として活用されていましたが、これらにはそれぞれ以下のような欠点がありました。

  • パピルス・・・もろい、湿気に弱い、材料がナイル川流域でしか取れない。
  • 粘土板・・・重い。かさばる。
  • 羊皮紙・・・一冊の本にたくさんの羊(15頭くらい)の皮が必要になり高い。

一方で、中国で発明された紙は、材料が容易に取得でき、また軽くて保存しやすいものでした。現代においても紙が主流の記録媒体となっているのは、それ以前の記録媒体よりも利便性や経済性において圧倒的に優れていたからです。

しかし、実は紙の世界的な普及には1000年以上の時間がかかっています。紙が発明されたのは105年と言われていますが、中国のおとなりの朝鮮・日本に紙が伝わったのはそれぞれ593年、610年と言われていますし、ヨーロッパに至っては12世紀に至るまで紙の作成技術が伝わることはありませんでした。

 

世界最初の図書館

古代の図書館として最も有名なものは、アレクサンドリア図書館だと思います。しかし、アレクサンドリア図書館以前にも、図書館は存在していました。現在考古学上で明らかになっている最も古い図書館は、メソポタミアの古代アッシリアの首都ニネヴェにあった王立図書館です。

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この図書館は、アッシュール・バニパル王(BC668~626)が設立した図書館で、粘土板の図書約3万枚を集めていたと言われています。集められた図書は宗教・政治・科学・文学・神話といった主題別に整理されており、図書目録の起源を見ることができます。

 

アレクサンドリア図書館

アレクサンドロス大王がエジプトを征服し、エジプトの北部に築いた都市「アレクサンドリア」に、古代・中世を通して最大の図書館であるアレクサンドリア図書館はありました。アレクサンドリア図書館は、プトレマイオス朝プトレマイオス1世が創設したもので、数十万冊のパピルス製図書が保管されていました。パピルスの情報記載容量は紙の50分の1と言われているので、現代換算すると約1500万冊もの容量の図書が保管されていた、相当な規模の図書館ということになります。

 

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実は、アレクサンドリア図書館が存在した物的証拠は何もなく、その実情はわかっていないことも多いです。しかし、それゆえに太古の失われたロマンとして、人々の心を動かす存在であります。

 

ペルガモンの図書館

アレクサンドリア図書館に対抗する形でアッタロス王朝の首都ペルガモンに設立された図書館が、ペルガモン図書館です。ペルガモン図書館は、羊皮紙でできた図書を20万冊所蔵していたと言われています。

前述のとおり、パピルスはエジプトでのみ採取されますが、ペルガモンがアレクサンドリア図書館に対抗するためにアレクサンドリア図書館長の引き抜きを企てたことより、両国の関係は悪化し、ペルガモンはパピルスを手に入れることができなくなってしまいました。そこで、ペルガモンはパピルスに頼らない記録媒体として、羊の皮から羊皮紙を作り出す技術を開発したのです。

羊皮紙を利用した図書は、巻物の形で保管されるパピルスとは異なり、現在の本と同じように両面記載・冊子形態をとることができました。そのため、ペルガモン図書館は現在の本の形式の生みの親であるとも言われています。

 

ローマの図書館

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ローマは元老院に代表される高い政治当地こそ有名ですが、文化的にはギリシャに劣っていました。しかし、ローマ帝国が拡大し、ギリシャのヘレニズム文化に接触すると、ギリシャ衰退後のヘレニズム文化の普及役として大きな役割を担うことになります。

ローマの図書館は、ギリシャとの戦争の戦利品として図書を持ち帰ったことに幕を明けます。その後、歴代ローマ皇帝の庇護もあり、4世紀に至るまでにローマ市には28もの図書館があったと言われています。

ローマでは、図書館は公共図書館として市民に公開されていました。素晴らしいことに、図書館の利用は無料でした。ローマの図書館は、現代的な公共図書館の先駆者と言えるでしょう。

 

中世の修道院図書館

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時代が中世に入ると、ヨーロッパではキリスト教が教育や文化の大きな推進役となりました。そこでは、多くの修道院が設立され、神学の追求や教育が行われていました。

修道院図書館は、規模こそ蔵書数200-300冊程度と古代の図書館より劣っていましたが、修道院では写本が推奨されたこともあり、古代より続く文化の継承役として大きな役割を果たしました。

 

大学の図書館

11世紀に入ると、教会の閉鎖性からの脱却要求や学問の飛躍的進展を背景に、学問の共同体として大学が設立されました。最も古い大学の一つであると言われているボロニア大学では、最盛期で1万人が学んだと言われています。また、12世紀に設立されたパリ大学では、1350年ごろには1720巻の蔵書を有しており、当時の修道院図書館に比べると充実したものでした。

この当時の図書館において特徴的なのは、図書に鎖がついていたことです。
 

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当時は図書は高価なものであり、盗難を避けるためにこのような対策をしていたのです。しかし、活版印刷技術が普及することで、図書にまつわる事情は大きく変わることになります。

 

グーテンベルク活版印刷

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グーテンベルクが発明した活版印刷により、刊本が普及しました。刊本は写本に比べて圧倒的に安く、人々は安価に本を購入できるようになりました。しかし、当時の学者は刊本を写本よりも劣ったものとみなしており、刊本への移行は中々進みませんでしたが、それでも圧倒的な利便性には勝てず、15世紀にヨーロッパで印刷された刊本は2000万冊とも言われるほどまで普及しました。

活版印刷により人々は容易に知識に触れることができるようになり、その後のルターの宗教改革など、時代を動かす大きな契機となりました。

 

フランス革命と図書館

フランスでは、16世紀のフランソワ1世の時代に王室図書館が確立されました。フランスの王立図書館では、納本制度が導入されたことも大きく、有名なルイ14世の時代には7万冊もの蔵書を有していたと言われています。

フランスの図書館をさらに大きく発展させたのはフランス革命でした。フランス革命においては、特権階級の人々のための文献を国民に開放しようという政策がとられ、教会・貴族・修道院の図書館の蔵書を全て没収し、王室図書館改めフランス国立図書館に移しました。これにより、フランス国立図書館の蔵書は30万冊にもなりました。

フランス国立図書館は1815年時点で50万冊の蔵書を誇り、現在でも世界有数の図書館としてその地位を占めています。

 

アメリカの図書館

開拓によって誕生したアメリカの場合、他のヨーロッパ諸国とは事情が異なりました。権力者や貴族が図書館を造り、成長していくのではなく、はじめから国民の手で図書館が作られたのです。

アメリカで最初に作られた図書館は、ハーバード大学図書館でした。ハーバード大学は1638年に設立され、当初380冊の蔵書は現在では約1600万冊まで拡大しています。

アメリカの図書館事情の特徴として、会員制の図書館が普及したことが挙げられます。会員制図書館とは、会員が一定金額を拠出して図書を購入し、共同利用する図書館を指します。最初の会員制図書館はフィラデルフィアに設立されたフィラデルフィア図書館会社であり、その後会員制図書館は各地に設立されていきます。1850年には、会員制図書館数は1000以上に達し、重要な教育機関としての役割を担っていました。

 

日本の図書館

日本では、古くは律令制の役職である図書寮(ずしりょう)が現代で言うところの司書の役目を担っており、図書の収集・分類・保管役を担っていました。その後は、武士や貴族が個人的に保有する「文庫」として以上に、公共的な図書館という文化は発達しませんでしたが、江戸末期ごろになると貸本屋という文化が発達します。江戸末期には印刷技術も進んでいたことも有り、江戸には800軒ほどの貸本屋があったと言われています。

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その後、明治維新により福沢諭吉や市川清流により外国の図書館文化が輸入されることになり、日本でも図書館設立に向けた動きが加速します。市川清流の建白書が起因となり、日本で初めての官立公共図書館として湯島に書籍館が設立されました。その後、書籍館東京書籍館東京図書館と名前を変え、明治30年にいよいよ帝国図書館と改称され、上野公園に新館を建設し、蔵書数は24万部にまで至りました。

 帝国図書館はのちの国立国会図書館となり、現在も日本の国立図書館としての役割を担っています。

 

 

ということで、かなり駆け足ですが図書館がどのように誕生し、また国ごとの特色を踏まえながらどのように発展してきたかを俯瞰してみました。

図書館史をまともに勉強したら、とんでもないくらいの深さがありそうですね。私はもともと歴史が好きなのですが、図書館というテーマで歴史を切り取ると、また違う視点で歴史を俯瞰できて楽しいですね。

ということで、図書館史のレポートもこの調子で頑張ります!